2005-01-01から1年間の記事一覧

太陰暦の映画

成瀬巳喜男監督の1954年の作品『山の音』には、原節子が月明かりに照らされて井戸水を汲むシーンがある。水汲みを終わって原節子は「お母さま、美しいお月さま」と、義母役の長岡輝子に言う。9月から10月にかけて放送されたNHKBS2の成瀬巳喜男…

成瀬映画に浸かる

今、NHKBS2チャンネルで「成瀬巳喜男映画特集」をやっている。昨年の冬から春にかけて、秋田市立図書館のAVコーナーで成瀬映画のビデオが何本もあるのを発見し、すべて借りてすっかりハマってしまったのだが、まだまだ見ていない作品も多い。全89…

映画音楽 音を削る

《夢の引用》 「映画は、完結した様式というようなものではなくて、それだから幾ら映画を観ても、また同じひとつの映画を繰り返し観る愉しみというものも生じ、飽くことがない。もしかりに映画に完成された様式美というものがあったにせよ、その美しさは他の…

『シネマの快楽』を読み直す

本屋の文庫本コーナーで、最近はどんな本が出ているのかと背表紙だけを順繰りに眺めていて、『シネマの快楽』(河出書房新社)を見つけた。蓮實重彦と武満徹による映画談義、トーク集で、随分前にリブロポートから出ていたものを図書館から借りて読んだこと…

33年目の『旅の重さ』

昨年は成瀬巳喜男作品を借りてお世話になった秋田市立中央図書館のAVコーナーに、今度は溝口健二の監督作品でも見直そうと思って立ち寄ったら、何の気なしに手にとった『旅の重さ』(監督:斎藤耕一/1972年)を借りてきてしまった。この映画は封切り…

映画の中の民俗行事−『女中っ子』

きょう1月15日は小正月。数年前までは成人の日で祭日だった。私が在住している秋田県男鹿半島の全国的に知られている民俗行事−ナマハゲは、現在は12月31日の大晦日に行われているが、戦前までは小正月の15日夜の行事だった。これに関連して通称ハッ…