2004-01-01から1年間の記事一覧

2004年回顧

今年(2004年)は映画館で一度も映画を見なかった。春に押井守の『イノセンス』を見ようとして映画館の前までは行ったことがあったのだが、運悪く(良く?)上映が終了していた。数えてみたら、この3年間で映画館(劇場)で見たのは、『あの子を探して…

たそがれ西部劇

前回のエントリーで「さすらいのカウボーイ」「ギャンブラー」「男の出発」を“たそがれウェスタン”と書いたが、そこからまたいつものように連想が広がり、60年代末から70年代はじめにかけて見た西部劇を思い出した。そういえば、あの当時製作された西部…

70年代の輝き−ディック・リチャーズ

好きな野球映画のことを考えていたら、『さらば愛しき女よ(FAREWELL MY LOVELY)』(監督:ディック・リチャーズ、1975)を思い出した。原作はレイモンド・チャンドラーの同名小説で、舞台は1941年のロサンゼルス。まったく野球映画などではないのだ…

私の好きな野球映画

大リーグ、シアトル・マリナーズのイチローが258本の安打を打ち、ジョージ・シスラーの持つ年間最多安打記録を84年ぶりに更新した時、球場に流れていた曲が、映画「ナチュラル」のテーマソングだったということを後になって知った。「ナチュラル」(監…

映画『馬』の民俗世界

図書館のAVコーナーにあった成瀬巳喜男作品はあらかた見終えたので、次はこれまであまり馴染みのなかった監督の映画を見てみようと、『馬』(山本嘉次郎監督)を借りてきた。高峰秀子扮する農家の娘が手塩にかけて育てた仔馬との離別をテーマにした194…

『按摩と女』を置いているビデオ屋があった!

かねてから邦画の品揃え日本一と聞こえていた東京恵比寿ガーデンプレイスのTSUTAYAにようやく行くことができた。イヤー、噂にたがわぬ充実ぶり。黒澤、小津、溝口などの巨匠作品は全タイトル揃えているようだし(ビデオレンタル禁止の成瀬作品だけな…

モノ書きはつらいよ

友人のfukusuke氏のはてなダイアリーに、「All works and no play makes Jack a dull boy.」の文字がスクリーンセイバーになっている話が載っていた。 http://d.hatena.ne.jp/fuqusuke/All works and no play makes Jack a dull boy. (勉強ばかりして遊ばな…

『続・激突カージャック』のビルモス・ジグモント

随分前に一度見ている映画を、今になって見直してみると新たな発見があって驚くことが多い。最近では成瀬巳喜男の『山の音』がそうだった。こんなにエロティックな映画だったとは! いったいあの映画の何を見てわかったような気になっていたんだろう?私の目…

追憶の京都「彷徨館」

『ウンタマギルー』(1989)は高嶺剛監督の作品だが、私はその高嶺氏に1度だけ会ったことがある。 1975年の夏だったろうか…。京都の百万遍交差点のそばに「彷徨館」という名の喫茶店があり、そこで私がつくった8mmフィルムの上映会を催したこと…

カビがはえてた『ウンタマギルー』

前回のエントリーの続き。 高嶺剛の『ウンタマギルー』は、『初国知所之天皇』(1973/原将人)、『東京戦争戦後秘話』(1970/大島渚)、『サンソレイユ』(1982/クリス・マルケル)、『さすらいのカウボーイ』(1971/ピーター・フォンダ…

『スローターハウス5』を300円で買う

レンタルビデオ店で安売りビデオを何気に眺めていたら、『ウンタマギルー』(1989年/高嶺剛)と『スローターハウス5』(1972年/ジョージ・ロイ・ヒル)を見つけた。1本300円だったので、迷わず買い求めた。 『スローターハウス5』は封切り時…

『めし』のオープンセットは素晴らしい

1951年(昭和26年)のキネマ旬報ベスト10の1位が『麦秋』(小津安二郎監督・松竹)、2位が『めし』(成瀬巳喜男監督・東宝)だったという。私にとって『麦秋』は個人的な思い入れの強い特別な映画なのだが(小津作品ではベスト1)、どちらが好み…

顔を知られたくない映画監督

成瀬:いくつになってもまだ買い物ができないんだな。一人でデパートに行っても、そこらの店屋でも買うのはきまりが悪くてしょうがない。 人と話すのは私は口下手で嫌いですが、一人で歩くのは好きでして、暇があると一人でぶらぶら歩いているのですよ。顔を…

成瀬映画にハマル

もっとも映画を見て、また映画に影響されたのは、1960年代後半から70年代初めにかけて、20歳前後のころ。だから私の映画体験は、「アメリカン・ニューシネマに始まり、フランスのヌーヴェル・バーグの追体験を経て、小津安二郎に辿り着く」といった…

ゴダール インタビュー

前々回のエントリー「ゴダールの日本映画史とは?」で取り上げたゴダールの発言− 「日本には溝口、黒澤、小津、成瀬といった数人の映画作家は存在したが、(仏、伊などと違い)その国が何なのかを表現する“日本映画”は存在しなかった」というのは、私がたま…

清水宏伝説

フィルムアート社から出ている『映畫読本』シリーズの「清水宏」特集で、田中真澄が書いていた清水宏の人となり− 助監督時代の清水宏は、「助監督は監督の勉強をするのが仕事」といって、一切の雑用をせず、キャメラの傍らに突っ立ったままなので、「銅像」…

ゴダールの「日本映画史」とは?

NHK・BSの「小津安二郎生誕100年」に関連して放映された『小津と語る』を見た。 ポール・シュレーダーはなんか嫌味な奴という印象で、ヴィム・ヴェンダースはやっぱりマジメな人だった。何といってもアキ・カウリスマキが例の赤いヤカン(ポット?)…

スコセッシと清水宏

私はマーチン・スコセッシの映画の熱心な観客とはいえないが(代表作の「タクシー・ドライバー」でさえ、そんなに好きではない)、ハリウッド映画とは一線を画した作家的なこだわりが感じられる映像センスには、共感するところがある。この人は本当に映画が…

清水宏の温泉映画

昨年は小津安二郎と同い年の清水宏も生誕100年だった。 清水宏はその作品からはあまり想像がつかないが、かなり性格的に問題のある人だったらしい。そのせいなのか、人格者(?)の小津と比べてどうもいまいち評価が低いけど、小津とは異なる独特の個性を…

「裏小津映画」Best5

①『浮草』 大映で撮った唯一の作品。宮川一夫のカラー撮影が鮮烈。俳優(京マチ子、若尾文子)、季節(真夏)、場所(海辺の町−志摩半島)、豪雨(男女対等な罵りあい)、風狂(旅芸人)への憧憬。すべてが異色。こんな小津映画もあったんだ!②『お茶漬けの…

「表小津映画」Best5

①『麦秋』②『東京物語』③『晩春』④『秋日和』⑤『秋刀魚の味』

小津映画Best5(戦後編)

「表小津映画」と「裏小津映画」に分けてみた。(ただし、戦後の作品)

小津映画の気になる身体Best5

1.原節子の二の腕 『東京物語』で「私ずるいんです」と言って泣くときに、顔を覆う手の大きさ、二の腕の太さ。私の腕の3倍はありそうだ。 2.原節子の背中 ホームドラマでの一家団らん、食事の場面などでは正面に人物は置かないのが普通だが、『麦秋』な…

Tokyo Twilight

ちょうど1カ月ほど前、東京の新名所、六本木ヒルズへ行った。クリスマス前ということで、街は華やぎ、ものすごい人出。お目当ての森美術館はエリア中央にそびえる高さ270mの森タワー57階にあるので、エレベーターに乗るために長々と並ぶ。開館記念「…